私を惚れさせて。私の虜になって。
私がついた瞬間から、7、8人の大人が、睨みつけてくる。

やだ、やだ。

早く、帰りたいよ。

「まず、葬式」

唐突で、乱暴。

「行きたいでしょ?」

行かせないくせに、意地悪だ。

「……はい」

「悪いんだけど、友達とかも呼ばないで静かにやることになったから」

「……そうですか」

目線から逃れたくて、俯く。

「親戚、だけでやることになったから」

お前は違うだろう、って言いたいんでしょ。

「……分かりました」

「本当に分かってんの!?話終わってないんだけどっ!!!」

いちいち、怒鳴り散らさないでほしい。

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