私を惚れさせて。私の虜になって。

「じゃ、塾行ってくんねー」

大嫌いな家にいるぐらいなら、嫌いな塾にいる方がましだ。





塾にはもう松木がいた。

「よう、すがちゃん」

「おー」

「菅原、よう」

「おー、まー」

まーくんも、一緒に。

「菅原テンションひっく！」

「ありがとう」

触れないで欲しいから。

適当にあしらっておけば、

「聞いてあげる」

なんとかなると思ったのに、

「いいよ、普通だよ」

そんなにそそる喋り方をしてたのか、まーくんは私の近くにやってくる。

「いーじゃんよー」

「うるさい。良いって言ってんでしょ？」

「冷たっ。菅原ひどっ」

「あいむそーりー」

あーもう。

みんなみんな、やかましい。