私を惚れさせて。私の虜になって。
ずっと、静かに待っていてくれた松木。

「寝よー…」

眠たかったくせにね。

「一緒に」

「え?」

「寝よ?」

「え、っと」

ちょっと、わかんないんだな。

「ま、いーや」

松木の、これまた散らかっている部屋で、

松木はベッドに寝そべった。

「おいで」

「え」

大きく両手を広げて、

なんか、かわいいじゃん。

「くっそ」

なんて、いきなり起き上がって、

「はよこいっ」

私を抱きしめて、そのままダイブ。

「何、してんの…?」

「よく寝れそうだな」

心臓が、バックバクだよ。

松木に、ばれちゃうよ。

「寝れないよ…」

こんなに、私の思いをかき消して。

悩んでたことなんか、吹っ飛んで。

「そうか?」

布団を丁寧に掛けてくれる。

「そうだよ」

頭まで、すっぽりと掛けられて、

目の前は真っ暗。

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