私を惚れさせて。私の虜になって。
もうすぐ、どっかに行っちゃう私なんて、構わなくていいのに。

もうすぐ、私はどっか行かなきゃいけなくて…。

「ほらっ!言わんこっちゃない」

ふらっとして、倒れそうになるのを、松木が支えてくれた。

「…うん」

私、立てないほどなの?

だって、うまく松木から離れられない。

「立てるか?」

「…わかんない」

「じゃ、だっこすんからな」

せーっの、と声をあげて、私をお姫様だっこしてくれた。

一歩もないところだけど。

ぐちゃぐちゃの布団を退かして、枕の真ん中に私を乗せてくれる。

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