私を惚れさせて。私の虜になって。
松木は、特に何をするでもなく、

たまに、話しかけた来たりするだけで。

でも、声を掛ければ、すぐに反応してくれて、頭を撫でてくれて。

こんな私のために、ずっと起きててくれたんだ。

「そろそろ、明るくなってきたな」

6時を回ったころ。

「うん」

ふっと上を向けば、松木の顔がすぐ近くにある。

だから、すぐ下を向いちゃうんだ。

「起きるか」

私から離れて、起き上がって、

「起きれる?」

屈んで、手を差し伸べられて。

「ありがと」

だから、ちゃんと起き上がれた。

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