私を惚れさせて。私の虜になって。
松木の家にはあっという間に付いてしまう。


「ただいまー」


いつもみたいに、玄関の扉を開ける前に言っている。


「ふふっ」


「何が面白いんだよ」


「いっぱい」


「いっぱいか」


「うん!いっぱい」


家の中なのに、頭を撫でられた。


1度は離れた手も繋いでくれる。


「いいの?」


こんなことして。


「いいのいいの」


なんだか、照れちゃう。


すごく、嬉しいけど。


けど、


「……なんか、ね」


「ん?」



知らしめられてるみたい。


「なんか、なんだ?」


「…何でもない」


いつもは松木が開けてくれる松木の部屋の扉を開けて、中に入った。


< 410 / 489 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop