私を惚れさせて。私の虜になって。

松木は一瞬固まって。


ふわりと、笑った。


「あれぇ?赤いよー?」


「うるさい。食べなさい」


俯いて、スプーンだけを突きつける。


「ん」


歯とスプーンがぶつかる音がして、


ふっと前を見た。


思ったよりも松木の顔がすぐ近く。


やっ、また赤くなっちゃう…。


「うまい」


「…そう?」


「もっかい」


ぐって、私に近づいて、


「…うん」


あぁ、やっぱり松木が優勢だ。


勝てっこない。


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