私を惚れさせて。私の虜になって。
「よし完璧!流石私!」


「なげぇよ」


勉強していた松木が回す椅子を鳴らしてこちらを向く。


松木のお母さんでその姿は見えないけど。

「どぉー?」


美容院みたいに合わせ鏡を出してくれて、


「ぎゃっ!すごい!」


「こらっ!ぎゃってなんだ!」


「歓喜の雄叫びです」


冗談をかましながら自分を見つめた。


…どうしたらこんなすごいのができるのか、サイドの髪をふわふわに編み込んで後ろでまとめている。


「あの、この飾り…」


ゴムは見えなくて、キラキラの飾りが付いている。


「可愛いでしょ!」


「可愛いんですけど…、このまま私…」


夜行バスで。


「いいのよ!あげる!」


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