私を惚れさせて。私の虜になって。
思った以上に流れが速い観覧車は


ぐいぐいとその列も進む。


「ねぇ、2人ともどこいったのかな」



自販機ならすぐそこにある。


どこまで買いに行ってくれたのか…。


「いいじゃん。2人で乗っちゃおうぜ」



「……そ、だね」


半々だよ。


みんなで最後に、全員で楽しみたい。


だけど。


2人で、最後だから、2人っきりで遊びたい。


気持ちが混ざっちゃう。


「順番、きちゃう…」



1つが叶いそうになると、もう1つが恋しくなる。


「いいじゃん!笑って?」


そうだ。


楽しく、遊ぶんだ。


「うん。頂上でさ!2人探してみようよ!」



「そだな。」


松木が手を貸してくれて、不安定に揺れる観覧車に、2人だけで、乗った。




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