私を惚れさせて。私の虜になって。
「すがちゃん、行きたいところあんだって」


「…そーか。じゃー、そうするか?」



「…ま、まーくんなんかないの?」



行きたい。あの丘に、行きたい。


だけど。


その分、夜が近づいてるって分かっちゃうから。


だから、行きたくない。


「特にないなー。また来れるし」



「…そーだね」


まーくんは、これからも、いつでも。


好きな時に、ここにこれるね。


「近いもん、ね」


ほら、また俯いちゃう。


だめって、分かってるよ。


だけど、


「…そんな泣いたらだめだぞ」



涙が溢れちゃう。


< 454 / 489 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop