バーベラ・・・魅了された男達
次に瑠奈の部屋を訪れた時には人で溢れかえっていた。

「るー、儂は心配してたんじゃからな」

瑠奈の事を『るー』と呼ぶのは裕樹の親父さんの直樹さん。

「直くん、心配かけてごめんね」

「こうやってまた、るーの顔を見れたから良しとするか。次は勝手に居なくなるなよ?」

さり気なく念を押している直樹さん。

「そうだね〜。直くんには私のいる場所バレてるみたいだけどね」

瑠奈は苦笑した。

「勝手気儘に動いてしまう猫だからのう、るーは……首輪みたいなもんじゃ。儂たちがそれで安心するんじゃからいいじゃろ?」

直樹さんは瑠奈の言葉を受け止めて、すんなり認めた。


「……まぁ、それもそうだね〜」



普通に直樹さんと会話している瑠奈だけど……

実は、さっき38度の高熱を叩き出していたところで……

おでこには冷えピタ、腕には点滴をしている状態だ。

「あ、たっくん。診察?」

瑠奈に見つかった。

「いや、様子見に来たんだよ」

「拓海、瑠奈はあまり良くないのか?」

瑠奈は直樹さん達に言ってないのか……


瑠奈をチラッと見ると

『言わないで』

と目で訴えられた。


「………いつもの体調不良ですよ」

「そうか、しっかり食べないとだな。るー」

直樹さんは瑠奈の頭を撫でた。

瑠奈は俺に向かって『ありがと』と口パクをした。


俺の受け答えは間違ってなかったみたいだ。


拓海side end…
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