バーベラ・・・魅了された男達
ゆっくり目を開けると、心配そうな顔のたっくんがいた。

「……た、くん」

思ったより小さな声しか出せなくて驚いた。

「熱がなかなか下がらないんだ。起き上がれないだろう?」

言われてみれば、体に力が入らない。

「2日間目を覚まさなかったんだ。直樹さんを始めとする皆さん、心配してるよ」

心配かけちゃった……

怒ってるかな……

やっぱり私はみんなの近くに居ない方がいいよね……

「変な事考えるなよ」

「え?」

「瑠奈が居ないとみんなもっと心配する。目の届くところに居てくれる方が安心だ」

たっくんは、私の心の中を読み取っていた……

「たっくん……」

「とりあえず、今は熱を下げよう。多分体力低下と疲れから来てると思うから…
栄養失調も続いてるしね。栄養は点滴で補ってるよ」

点滴の説明をしてくれているたっくん。

「解熱剤も入れてるんだけど、あまり効きが良くないね……」

そう言って、私のおでこに手を当るたっくん。

「平気よ」

そう言った私を苦笑いで見つめるたっくん。

ほんとに平気なんだけどな……


重い体を無理矢理動かして起き上がろうとすると、たっくんにベッドに押し戻された。

「っっ‼︎ 頼むから、病院にいる間は無理するな」

今はたっくんの言う事を聞いてる方が良さそうね……

「………分かった」

私の言葉を聞いて安堵した表情をしたたっくんを見て、心配かけている事を実感した。
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