”好き”になってよ。
家に帰ると、父と母はリビングのテーブルで、俺を待っていたかのように座っていた。
父は夜勤が多いので今の時間帯に家に居ることが珍しかった。
「父さんも、母さんもどうしたんだ?」
2人とも険しそうな顔をしていた。
喧嘩したのだろうか...
小学生だった俺にはそうとしか思えなかった。
俺も椅子に座る。
「伊織、よく聞け」
「うん」
「父さんの転勤が決まった」
「...転勤?どこに?」
「名古屋だ」
「名古屋って...いつから......」
「...1ヶ月後にはここを出る」
「そんな...」