キミを独り占めしたい。
私の返事も待たずに圭介はさっさと自分の教室に戻っていった。
「ったく…」
「相変わらずね、彼。」
後ろからクスリと笑う声に振り向くと、良子が立っていた。
「ほんっと、猿みたい。」
「猿、たしかに…」
彼女の例えに思わず頷く。
「まぁそんな猿を好きな夏菜も仲間かしら?」
「…っ」
良子の意地悪な言葉に顔が熱くなるのを感じた。
すぐさま周りを見渡す。
幸い周りはそれぞれの話に夢中だった。
「ちょっ、教室で言わないでよ!」
わざと睨め付けるように言うと、ああ〜怖い怖い、とからかうように良子が肩をすくめた。