死にたがりカップルが未成年で夫婦になった話
episode1-失望-
「何も出来なくてごめんね」
そう言って涙を流し俯く先生を私は黙って眺めることしか出来なかった。
中学一年の冬、私は友人から疎外されることになり、一人になった私は同時に男の子たちの標的となった。
「おい、ガイコツってやつがこのクラスにいるらしいけど誰のことなんだよ」
教室で大声で叫ぶ一人の男の子。彼はクラスで一番目立つ人で、所謂問題児と言う奴だ。
今は授業中で、国語の先生が音読をしている。そんなことも構わず彼は叫び続ける。
「ガイコツって誰だよ。えーっと、青いピンをした女なんだっけ」
彼の友人も続けて叫ぶ。
「えー?青いピンしたやつなんてこのクラスにいたっけ?確か、右から二番目の後ろから三番目だっけ?」
私の足はカタカタと小刻みに震えた。
心臓は痛いくらいに跳ね上がり、呼吸が乱れて息苦しい。
そして一人の男の子が私の席に近付いてくる。
「えーと、この辺だよな。右から二番目の後ろから三番目…あれ?あれ?」
わざとらしく私の席の周りをウロウロする。
私は寝たふりをした。机に顔を伏せて耳を塞ぐ。
たった数日前までは毎日平和で、周りには友達もいて。
それなのに今の私には敵しかいなくて、友達は一人もいなかった。