恋愛戦争



怒涛の展開で進んだ俺と晶だが、それからが長かった。


じゃあ写真集作りましょう。とはなかなか行かず、打ち合わせを死ぬほどした。


なんと、一年。


モデルの南月はショーに出続け、ブランドのイメージモデル、雑誌の表紙と世間に露出していき、人気も知名度も上がっていった。


晶はというと、美人カメラマンとして一気にメディアに追われることになった。


写真集製作をするにあたってどうしても避けては通れなかったことであるが、俺は俺のものでもない晶が世間のものになっていくことに苛立ちを覚えた。


しかし、晶サイドはその全てを断っていて、メディアに出ることはほとんどない。

しかし世間はそう簡単に見放してはくれず撮る側が撮られる側に追われ、人生初、週刊誌に載ることになってしまった。



「最悪のアングルで撮られた」


と、苦笑しながら零した晶の横顔が少し疲れていて、急遽俺の事務所から送り迎えの車を出したりした。


その週刊誌に載った晶は最悪のアングルにしては最高に可愛くて、世間の目に止まってしまった。


メディア露出を一切しない、ミステリアスな美人カメラマンが、人気モデルの南月と仕事をする。


最初こそ新人カメラマンとの博打打ち、という名目で発売する予定だった写真集は急遽軌道修正し、事務所は宣伝を変えた。


大学4年へと進級していた俺たちは、そう簡単に学べる環境ではなくなり、通信へと切り替えざるを追えない状況にまでなった。


その間に俺は引越しを済ませ、堂々たる顔でお隣さんに挨拶に行った。



「どーも、隣に引っ越してきた葛城です」

「ナツ、全然展開についていけないよ」

「細かいことは気にすんな」

「気にするよ、だってナツがストーカーになっちゃったんだよ?」



ついにバレた。




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