恋愛戦争



ロビーのソファーに腰掛けてヤツを待っていると、パタパタとタイルを蹴る音が辺りに響いた。



「晶さんお待たせ……南月じゃん!」



ヘタレまゆげの安藤さんは俺の顔を見るなり驚きと、安定の困った顔で出迎えやがった。



「南月、ダメだろう今日はせっかくのオフなんだからしっかり休まないと」

「晶1人で猛獣だらけのコンクリートジャングルに行かせるなんて無理」

「ん?まってナツ、何言ってるの?」

「今日は日程相談とスタジオの確認だけだから大丈夫だよ」

「じゃあ俺がいてもいいじゃん。無理、安藤さんと晶を同じ部屋にいさせるなんて」

「ナツ?いっかい静かにして?」

「だいたいそんなのメールでよくね?なんでわざわざ呼ぶの」

「ナツ」

「晶うるさい」

「ナツがうるさい」



もう、と唇を少し尖らせて怒った彼女は安藤さんに向き直るとすみませんと頭を下げる。



「ナツがいた方が話も進みやすいかと思って、ついて来てもらったんです」

「ちげーよ俺が勝手に来たの」

「もうナツは黙っててってば」



立ちっぱなしのスーツ姿の安藤さんはくしゃっと整えられた前髪を乱すと笑った。



「もうなんでもいいから、君たち目立つからあっち行こ」



美人カメラマンと人気モデル、三角関係か。なんて書かれたらたまったもんじゃないよ。


呟いた安藤さんは早く!と2人を促すので黙って従った。






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