恋愛戦争
結局、突如降りかかった品川問題はなにも解決せず俺のわがままを披露して終わった。
「ほら降りろ、全く車が傷ついたらどうするんだよ」
晶と俺を駐車場に下ろした安藤さんは不満そうな顔をしながら一緒に車を降りる。
「なんで降りてるの」
「俺もお腹すいたもん」
「は、きっも」
「いいじゃん南月のご飯たべたい」
「彼女かよ」
永遠に続きそうなやり取りは晶が眠そうな目ををしていたのでやめた。車の中でうとうとしていたのは気づいていたので彼女の荷物をかっさらいさっさとエレベーターに乗り込む。
きっと緊張の糸が切れて一気に疲れが押し寄せたのだろう。辛うじてシャキッとした顔を保っているのは安藤さんいるからだろう。
隣同士のドアの前、ぼーっとしてる晶をいいことに俺の部屋の鍵を取り出しさっさと開ける。
先に中に入ってパチパチと電気をつけたのは安藤さん。自分の家かよ。
戸惑っているのはもちろん彼女。
「え、わたし帰るよ」
「このままだと飯も食わずに寝るだろ」
「そうだけど」
当たり前ですけどなにか?と言わんばかりのきょとん顔の晶を俺の部屋に押し込んで内鍵を閉める。
「ご飯出来たら起こすから寝てろ」
「ナツの家で?」
「安藤さんもいるし、何もしないから」
「モラル」
「晶がご飯たべない方がモラル違反」
意味わかんない、と疲れた顔で言うので速攻で靴を脱がせて手を引いてリビングにあるソファーへと座らせた。
一連の流れを見ていた安藤さんがポツリと呟く。
「南月って強引、でも嫌いじゃない」
「キモい」
とりあえずクッションを投げた。