恋愛戦争



それから数分もしないうちに晶はソファーに横になって眠りの世界に落ちた。


安藤さんがブランケットを取り出して置いてくれたので、その中で静かに寝息を立てている。


俺は冷蔵庫に詰められた食材を見つめスープパスタを作ることに決定。湯を沸かしパスタを投入してその間にスープを作る。



「何で南月は料理できるのに女心はわかんねーかなぁ」



ひとりごちて悪口を言うクソ野郎。



「わかんねーよ、晶は特に」

「無駄に女の知識はあるのにな、全然活かせてねぇーな」

「やっぱ帰って」

「ごめんって」



グツグツとパスタが水面を下から上に舞うのを見て頃合いかと一本味見をしてみる。ちょうどいい出来なのでザルに空けておく。



「俺ね、晶のこと好きになる権利もないの」



遥か昔に剥奪された権利を無理矢理奪い取り我が物にしている本当の悪人は俺。その言葉に安藤さんが眉根を寄せる。



「なんだよそれ、だってどう見たって晶さんも」

「いつもどっかで拒絶されてるんだよ、心の奥底でね」

「…考えすぎだろ」

「だといいけど」



確かに晶は俺のことは好きだと思う。でもそれは嫌いじゃないことの裏付けになんてならない。


きっと、友人としてさは好きで人間として嫌いなんだと思う。



「でもさー、俺やっぱり晶がいいんだよね」

「そっか」

「うん」

「まぁ、頑張れよ」



調子に乗って上から目線で話してくるクソ野郎をキッチンから走って殴りに行った。


和やかな雰囲気である。



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