恋愛戦争
「はあーーー」
晶の言動により狂わされた俺は自宅のソファーで一人、うつ伏せで倒れる。傍に身支度を整えた安藤さんがいる。
「南月、また明日迎えにくるから」
「うん」
「悩め悩め若者よ」
ガシガシ頭を掻き乱されるがそんなこと気にしていられない。晶からの言葉が気になって仕方ない。
「ねぇー、恨んでる相手にありがとうって言う?」
「さぁーな」
「参考にならねぇ大人だな」
「まぁ、でも感謝されて悪い気持ちになる必要はないだろ」
深く考えすぎるな。そうアドバイスをくれた彼はまた俺の髪をぐしゃぐしゃにしてから玄関に向かった。
「気になるなら直接聞け、悩んでる間に取られるぞ」
じゃあまたな。そう言い残して玄関の鍵をしっかり締めて帰っていった。
確かに取られると思う。晶可愛いし美人だし性格もいいし、品川さんいい男だし。
考えても仕方ない事ばっかり、永遠と悩み事が湧き上がるマイナス思考真っしぐらな思考回路は止まらない。
なんなんだろう。ありがとうって、俺、あの時感謝されることなんて何一つしてないのに。
葬式の日の晶の小さな背中を思い出せば、無遠慮に抱きしめて傷を深くした罪深い思い出しかない。
ねぇ、晶。
晶の心が知りたい。