恋愛戦争
晶が俺の顔を斜め下から何か聞きたい様子で見つめてくるので、後でね。と髪を撫で付けた。
「変なこと言った?」
「言ってないよ、大丈夫」
「そっか」
とーるちゃんは花瓶をテーブルに置くと晶に向ける。
「晶ちゃんにもお世話かけてます。いつもありがとうございます」
「いえいえ!あの、こちらこそナツにはいつもお世話になってるので」
「そうなの?」
「ご飯とか、ご飯とか」
「餌付けされてる?」
「おい」
晶が随分楽しそうだ。晶が笑えば世界平和なのでこの空間はもう幸せに満ち足りる。
「このお花可愛い?」
「はい!可愛いです!」
「よかったー」
本当にただそれを聞きたかっただけなのだろう。彼は花瓶をそのままテーブルに置きいい匂いだねーと独特の雰囲気で包み込む。
「ホットケーキでいいんだよね、飲み物は何がいい?」
「オレンジジュース2つと、安藤さんはコーヒー?」
「うん、お願いします」
「はーい。お店の中見てていいよ、写真も撮っていいし」
ね。っと晶に微笑んだ彼は先ほどの会話でも聞いていたのだろうか。キラキラした顔で頷く彼女にはそんなこと気に留める様子もないらしい。
「とーるちゃんってエスパーみたい」
「そうでしょ」
「俺も手伝うよ」
「お、助かるー」
出された飲み物を飲みつつ、晶はすぐに嬉々として立ち上がり、違うテーブル席に腰かけたり、カメラを構えたり。
安藤さんもコーヒーを見ながらそんな晶を見て可愛いね。と笑みを浮かべるもんだから睨んでおいた。