恋愛戦争

「壮大だね」

「でしょ」

「あ、もういいんじゃない？」



両面が綺麗な黄金色になったふわふわとした分厚いホットケーキを白いプレートの上に乗せて。


その上にバターと、とーるちゃんこだわりの蜂蜜を乗せれば、完成。



「うん、美味しそう。晶ちゃーんできたから食べよー。戻っておいでー」

「はーい」



4人分をカウンターに並べると大人が横並びでホットケーキを食べるというシュールな絵に仕上がる。



「久しぶりに食べる…」

「ほんと？早く食べよ」



終始瞳を煌めかせている晶はナイフとフォークを持つと器用に一口大に切り分け、口に運ぶ。


そして、ぽつりと一言零す。



「え、すごい美味しい」



その隣で安藤さんも一口食べ、満面の笑みを作る。



「うっま！なにこれ！蜂蜜？」

「うん、蜂蜜。一番合うんだって」

「めっちゃうまい！」



よかった〜と笑うとーるちゃん。彼がこだわりにこだわりぬいたこのホットケーキが否定されたことなどない。



「これ南月が作ったの？」

「作ったのはとーるちゃん。俺は焼いただけ」



ねー。と安藤さんの奥にいる彼を見れば首を振って答えた。



「南月が焼くと特別美味しくなるんだよね」

「え、そうなの？」

「うん。俺も南月が焼いたやつの方が好き」



へらっと笑いながら言われたその言葉に素直にありがとう、と返す。