恋愛戦争



「確かに、南月は料理上手だしな」



安藤さんがうんうん、と頷きながら言うと晶も同じく頷く。



「晶さんだって南月に餌付けされてるでしょ?」

「え、すごい、よく分かりましたね」

「南月から捕獲報告聞いたんだよ」

「とーるちゃんが料理教えてくれたからね。一応、報告として」



へー、そんなことがあったんだー。と俺を見てくる晶の目は何言ったんだよおい的なものが含まれているので、そっと頭を撫でて誤魔化してみた。



「後で色々聞くね」



そっと手を叩かれて不覚にもきゅんとときめいた俺はそろそろ末期。



「あ、ごめん電話だ」



静かな音楽を裂くように鳴り響いた着信音に反応した安藤さんが立ち上がる。ちょっと外出るね、とドアを指差して向かっていくその顔に、少し違和感を覚えた。


余りにも大人な余裕を醸し出した顔で気持ちが悪い。


パタン、としまったドアの向こうはもう見えないけれど平穏無事にこの3日間が終わることを祈った。


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