キミの最後の贈り物〜花言葉に想いをのせて〜




「これは……」



ボソリとそう呟くと、詩織が俺の方によってきた。



「なにかあった?」



「いや、なにも。独り言だよ。」




俺がそう答えると詩織は他の花を見に行った。



詩織は覚えてるかな。俺が一番最初に教えた花の名前。



詩織はチューリップとか、菊とかはもともと知っていて、

ある日、突然俺に花の名前を聞いたんだよな。



『蓮斗くんっ、このお花ってなんてお名前なの?』



『へ?それはーー』



近所に住んでいたのに、その頃はあまり話したことなくて。



その会話をきっかけに俺らは仲良くなったんだよな。



詩織にバレないよう、その花を俺は手に取り、そのままポケットに入れたのだった。



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