虹をみつめて…。



今思えば、男の人と相合傘は初めてだった。


私の前を歩くカップル達を見る…


2人寄り添い合い、しっかり歩幅を互いに合わせていた。


私たちもカップルに見えているのだろうか?


ちゃんと“フリ”は出来ているのだろうか?




『本当は真紘が良かった?』


「えっ?
そんなことない!」





私の顔を見て小さく笑った。


最近碧斗はいつもそうだ。


付き合ってるフリを始めてから碧斗は、小さく笑った後必ず、悲しい顔をするようになった。




『嘘つかなくていい。』


「そんなこと…
ねぇ、どうしてそんな顔するの?」





雨の音が激しくなった…


気まずくなったまま駅のホームに着いた。


無言のままが続き、次に碧斗が口を開いたのは電車の中だった。


いつもならない座る隙間が、今日はあった…




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