虹をみつめて…。



バカ…


そんな事されたら、余計に諦められなくなるだろーが。





「ひくっ…ひく…」


『おい、また…』





ったくこいつは何回泣いたら気が済むんだよ。


気が強く見えるけど、彩葉はすごい泣き虫だ。


真紘の前ではいつも顔をほんのり赤くしてるし…





「ごめんっ…私泣いてばっかだよね」


『バカ…』





そっと右手で彩葉の頭を撫でる…


そして自分の胸元へと抱き寄せた…


熱い身体がより熱くなった。


どくん、どくん、と聞こえるんじゃないかってぐらい心臓の鼓動が高鳴る…





「碧斗…?」


『バカ、離れんな…』


「もう!…ひくっ、ひくっ」


『すぐ側にいろよ…』





今だけなんだ。


彩葉とこうしていられる時間は…


もうすぐしたら、彩葉の隣は俺じゃなくなるんだから。


だから早くもっと、学校で…真紘の前でイチャつかなきゃさ…


意味ねーんだよ。


真紘を妬かせねーと始まんねーんだ。



早く奪いに来いよ。


じゃなきゃ、俺がしんどい。


もう彩葉を泣かせたくないんだよ。



そう思ったとたん、目頭が熱くなって涙が流れた…


ほんと俺はバカだ…






-碧斗 side end-





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