虹をみつめて…。




夏休みも後半に差し掛かったある日、私は奈々ちゃんにお願いして碧斗を借りることにした。


借りるって言っても、話したい事があるってだけ。




「急に呼び出してごめんね?」


『いや、話って?』



碧斗を呼び出したのは駅から近くにある公園。


理由はあの事だった。


お祭りの日以来、なかなか聞けずにいた。


辺りにはもう18時だからか、人はいなくて夕焼け空になっていた…




「えーっと…
私に“付き合ってるフリ”してって言ってた理由がずっと気になってたんだよね」


『あー、言ってなかったね』




公園のベンチに二人して腰を下ろす。


久しぶりだなぁ…


碧斗と二人で話すのは。




「教えてくれない?」


『んー…わかったよ』




腕組みをして俯きながら答えた。


前髪で目が隠れて、風に揺れている…


奈々ちゃんはどんな碧斗を好きになったのかな?





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