恋の定義──そして今日も、君を想う──
夏休みが近付いたある日、屋上で昼休みを過ごしていたレナは、隣に座っていたマユに、ポツリと呟いた。

「今頃、どこにいるのかな…。」

「片桐…本当に誰にも何にも言わずに、消えちゃったね…。」

「うん…。」

しばらく二人は、黙って空を眺めていた。

「空気…。」

「えっ?」

突然のレナの呟きの意味がわからず、マユはレナに聞き返す。

「空気って…普段はあって当たり前だと思ってるのに…。なくなって初めて、気付くんだね…。私、今…苦しくて…」

レナは苦しげに、胸を押さえながら静かに呟いた。

「息が、出来ない…。」


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