恋の定義──そして今日も、君を想う──
誰にも行き先を告げずに、ユウは生まれ育った住み慣れた街を後にした。


無意識に胸元に触れた指先に、もう、レナとの思い出の指輪が触れることはない。

ユウは微かに苦笑いを浮かべ、その手をギュッと握りしめる。

これで本当に、自分とレナを繋ぐものは、何もない。

(さよなら、レナ…。泣かせて、ゴメン…。本当に…好きだった…。)

大好きだったレナの笑顔を思い浮かべ、心の中でそっと呟く。


愛しかったレナとの思い出も、無邪気にレナと笑い合った日々も、レナへの切なさに焦がれた胸の痛みも…全てを捨てて、ユウはロンドンへと飛び立った。


もうこの場所に2度と帰ることはないと、心に誓って…。

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