恋の定義──そして今日も、君を想う──
(この曲…。)

微かに聞き覚えのあるその曲は、高校2年の文化祭で、ユウたちのバンドが演奏したバラード曲だった。

包み込むような優しい曲とフレーズに心が温かくなったのを、レナは今でも覚えている。

(ユウの曲だったんだ…。)

切なげに囁くようなギターのメロディに、愛しそうに言葉を乗せるユウの甘い声。

あの時とは少し違う、今の素直な想いを歌詞に込めて、ユウは大切に心を込めて歌う。

ユウの切なく優しいバラードに、会場のファンはうっとりと聴き入っている。

いつしか、レナの目からは大粒の涙がこぼれていた。

ユウの想いを乗せた歌声は、レナを温かく包み込む。

(どうして…こんなに胸が痛いんだろう…。)

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