恋の定義──そして今日も、君を想う──
「うん…。」

それは、レナの事務所の先輩の須藤が仕事と生活の拠点をニューヨークに移すことになり、レナも一緒に行かないかと誘われていることについてだった。

「ニューヨークに行って…須藤さんと結婚、するの?」

「…うん、それもいいかなぁって…。」

「後悔、しない?」

「……。」

マユの問い掛けに、レナは答えられないでいた。

レナにはずっと心に引っ掛かっている人がいることを、マユは知っている。

「だって…もう、10年、だよ。」

「そうね…もうそんなになるんだ。」

二人は少しの間、黙りこむ。

< 5 / 541 >

この作品をシェア

pagetop