恋の定義──そして今日も、君を想う──
結局、なんの予定もないまま夏休みに入った。


ユウはバンドの練習に出掛けたり、たまに友達の家に遊びに行ったりはしたが、レナとは特に約束もないまま、いつものようにお互いの家を行き来しては、一緒に宿題をしたり、本を読んだり、ギターを弾いたりして過ごしていた。

夏休み前のシンヤとの会話が時々脳裏を掠めるものの、できるだけ意識しないよう普段通りの自分を装っていた。


その日も二人は、ユウの部屋で一緒に宿題をした後、特に何をするでもなく、いつものように寛いでいた。

「あ、そうだ。」

音楽雑誌をめくっていたレナが、ページをめくる手を止めて顔を上げた。

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