恋の定義──そして今日も、君を想う──
「何も言わずに急にいなくなって、音沙汰もなくて…もう二度と会えないかも知れないじゃない…。」

「そうだね…。今頃どうしてんのかなぁ、片桐のヤツ。」

どこか遠い目をしてマユが呟く。

「もしかすると、キレイな奥さんもらって、幸せに暮らしてたりしてね…。」

そう言いながら、レナは彼といつも一緒にいた遠い昔に思いを馳せる。

「もう、待ちくたびれちゃった。それに…ユウとは元々、恋人とか将来の約束をしていたとかいうわけでもないし…。幼なじみってだけで…。」

「でも、10年も待ってたでしょ。」

「うん…。ただね、もしまた会えたら、突然いなくなった理由を聞きたかったの。私達、小さい頃からずっと一緒にいたのに、ユウがいなくなる少し前からは、知らない人同士みたいだったから…。」


< 6 / 541 >

この作品をシェア

pagetop