心掻き乱れるほど恋い焦がれて


「だって……翔太はもう、私に飽きたんじゃないの?」
「は?…ちょっと待て。この状況でその台詞はおかしいだろ?」

私の台詞に口をあんぐりと開ける翔太は、確かにこの状況には相応しくない。
それでも、私は昼間から気になってしょうがなかったことを、今なら素直に聞けるような気がした。




「昼間、春奈に返す漫画探してて勝手に翔太の部屋に入ったの」
「あ、そう言われたよな。今度春奈になんか埋め合わせしねぇと」

勝手に部屋に入ったことを告白したのに、翔太はそんなこと、全然気にしていないような反応。
でも、それは私が勝手に引き出しを漁ったとは思っていないからだろうな、って思うと、これから告白しようと思っていることが怖くなった。



「それで……あの……そんなつもりじゃなかったんだけど…えっちなDVDをね、いっぱい見つけちゃったの…」
「え?……あぁ、そっか……悪かった…」
「謝らなくていいけど……ただ……」

私は胸が詰まって、目と鼻の奥がツンとする感覚にギュッとスカートを握り締めた。


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