心掻き乱れるほど恋い焦がれて
さっき実家で、春奈にも言われた話。
翔太がうちに来た時に突然両親が結婚の話を持ち出して、焦った私は、そんなこと考えたこともないから止めてよ!と突っ撥ねたんだ。
好きなことができなくなるくらいなら、今のままでいるのが一番幸せだ、と早口で捲くし立てた覚えがある。
「不安にさせたのはごめん…」
「ううん…私こそごめんね?」
「いや、謝んなくていい。俺が………正直に話すけど……なんかさ、俺ら結構ゴムつけねぇでヤッてたじゃん?俺的には、卑怯かもしれねぇけど、デキたらデキたでいいやって思ってて……だからさ、お前に結婚する気がないって言われてショックだったのと、そう言われたからってゴムつけてするのに抵抗があったのと……子供デキたらさすがに綾奈も結婚してくれっかな?とか考えてる自分が嫌でさ。なんとなく…そういう雰囲気になんの、避けてたんだわ…」
うわ、すっげぇ恥ずかしい、と言いながらも翔太は包み隠さずに話してくれて。
私は自分のあまのじゃくな態度が、翔太を苦しめていたんだと思ったら、心底情けなくなってしまった。
「翔太……私、翔太のことすごく好きだよ?」
「綾奈…」
翔太が私の肩を掴んでそっと身体を離すから、漸く二人の間に空間が生まれる。
「俺も…俺も綾奈のことすげぇ好き」
翔太の言葉を聞いて溢れ出した気持ちが透明な滴になって頬を伝う瞬間、翔太の顔が近づいてきて私はそっと瞼を落とした。