心掻き乱れるほど恋い焦がれて
「いいよお見合いなんて」
「いいじゃない。悪い話じゃないんだし…」
「でも…」
「姉ちゃんたちってさ、もう十年以上付き合ってそういう話出ないんでしょ?」
妹の核心を突いた攻撃に、私は最早、ぐうの音も出なかった。
それでも、いつもなら頑なに拒否したであろう私は、今日は昼間のDVDとか、春奈に言われた言葉とかがどうしても心に重くのしかかっていたから。
結局、半ば強引にカバンに突っ込まれて、それでもそれを放り出すことはせずに、気分的に物凄く重いカバンと、それ以上に重い気持ちのまま岐路に着いた。
帰る途中の電車で、久しぶりに翔太からわざわざメールが届いて。
嬉しくなってそそくさとそのメールを開いてみれば、「帰りにタバコ買ってきて」という用件のみの短いもので、なんだか私は悲しくなった。
ねぇ、翔太……翔太にとって、私ってどんな存在?