心掻き乱れるほど恋い焦がれて
カウンターキッチンから見えるリビングの真ん中で、封筒から取り出した、いかにも、な写真を見る翔太に息を呑んだ。
翔太にだけは知られたくなかったのに、とハッとした私は、大慌てで翔太に近づいて行く。
「ちょ!見ないでっ!!」
物凄い勢いで翔太の手の中からソレを奪って、封筒と一緒にカバンに放り込む。
そのままカバンを部屋に置きに行こうと踵を返した所で、翔太が私の手首を強く掴んだ。
「なんだよそれ」
掛けられた言葉は、聞いたこともないような低く、怒気を含んだものだった。
私はその場に立ち止まったまま、ビクッと身体を揺らしただけで振り向くことができなかった。
「綾奈!……こっち向けって」
「痛いっ…」
グイッと腕を引かれて、よろめくように振り返る。