風に恋したキミと
どうしよ、今日は部活がちっともやる気が出ない。
園田先輩はいつも筋トレで使ってるマットを持ってくると、クスっと笑いながら
「本当今日元気ねぇのな」と言って座るように促してくれた。
「だって……」
園田先輩は年上なのに、友達に話すような口調がいきなり出てきてしまう。
「だって何だよ?そんなんじゃ、筋トレだってロクに身が入らないだろうから話してみ?」
園田先輩は隣に座って、足をピンと伸ばして後ろに手を置きながらそう言った。
「わたし……理由は分からないですけど
桐島に……嫌われちゃったみたいなんです」
どうしよ、“桐島”って言葉にしただけで涙が出そう。
わたしは真上にある葉が生い茂った木を見ながら必死に涙がこぼれるのを耐えた。