風に恋したキミと
「あーもう……わたしなんで気付いちゃったんですかね。
今まで気付かなかったんだからこのまま気付かなければ良かったのに!
本当に桐島のくせに、むかつく……」
出てくる涙を両手でキュッと拭いながら、自分の中で早く涙が止まれ!止まれ!と念じる。
グラウンドには他のみんなもたくさんいるのに、桐島のことで園田先輩の前で泣くなんて……。
「おい!そんなっちょっと、まじで泣くなよ!
内容が内容でも、傍から見たら俺が泣かしてるように見えるだろ」
なっ?と焦った顏をしながら、わたしの頭を優しく撫でてくれる園田先輩。
そんないつもにない慌てた園田先輩の姿に泣いていたのにパッと涙が止まった。