風に恋したキミと
リハビリを始めてからはアップでグラウンドをゆっくり走ったり、走り込みでトラックを走ったりしたけど外周を走るのとはやっぱり違う。
疲労骨折になる前に近いくらいの速さで走ってるから
視界に走るたびに変わっていく風景を久々に見て
フサッフサッと自分の髪が小さく音を立てて
風を強く感じて
少しずつ自分が前みたいに走れてることを実感できる。
いつものように地面を蹴って、腕を振っているだけなのに。
「先輩、わたし久しぶりに走れてすっごく楽しいです!」
「だろ?俺も久々にまともに走れてすっげーテンション上がる!」
目の前に長距離のみんなが走ってるのが見えて、わたしたちはもう少しだけペースを上げた。