風に恋したキミと
橋本先生はおそらくわたしと同じ話をしたのに、彼からは全然そんなように感じられない。
わたしは咄嗟に別れを告げられるのが嫌で、また逃げ出そうとした。
するとグイっとわたしの腕を引っ張ってそのまま桐島の腕の中に閉じ込められた。
「もう追いかけっこはしねぇぞ。
橋本の言葉真に受けすぎ」
桐島はそう言うとさっきよりもぎゅっと抱き締めてくれた。
「別れろってあんな一対一で言われてたら真に受けるに決まってんじゃん!
桐島の方こそなんでそんなに普通なの?おかしいよ!」
嗚咽を我慢しながら桐島に言い返した。
わたしだけなんだ、別れて哀しいと思うのは。
桐島は何とも思わないんだ、だから桐島はそんな普通なんだ。