風に恋したキミと
去年からわたしより上の成績を取って、県大会でも入賞していた人。
上と言っても、本当に1つか2つ順位が上で届かないわけでもない。
今だって、トップとの差は頑張れば届かない距離じゃない。
ペースを上げて、ついていかなきゃ。
この人より速く走らないと1番になれない。
わたしは腕を今までよりも大きく、早く振って、1位の選手を追う。
距離は少しずつ縮んでいくけど
でもその分息切れも激しくなってくる。
追い討ちをかけるように向かい風も感じて……。
そんな時、カランカランとラスト1周を告げるベルがトラック中に響き渡った。