風に恋したキミと
一位になれなかった。
彼女に届いて、追い抜かすことができなかった。
「2着」
ゴールしてそう言われた時、我慢していた涙がこぼれそうになった。
だけど、その涙はどうしても1位でゴールした選手には見せたくなくて必死で耐えた。
1人だけ空を見上げて。
ここで泣いたりしちゃだめ!と何度も自分に言い続けて。
ふと彼女を見ると、上の先輩がいない大会の中で1位になったからか清々しい顏をして息を整えてる。
スタンド席からの「お疲れ~!」という言葉にも手を振って返してる。
「くや……しい」
だめだ、あの人見たら。
わたしは全員走りきって、解散の指示が出ると誰よりも速く走って競技場から出た。