風に恋したキミと
「あーー!もうっ!」
わたしは誰もいないのを良いことに大きな声を出して足をバタバタとさせた。
このネガティブにしか考えられない自分も嫌っ!
「何があーもう!なんだよ。
スパイク履き替えないで、そのまま競技場から出てくヤツなんてお前くらいだぞ」
「え?桐島?」
キョロキョロと周りを見回してみると、わたしのランニングシューズを持ってだるそうに歩いてくる桐島がいた。
「公式用のピンだってコンクリート走ると丸くなるんだよ、ばーか」
そう言いながら、桐島は「ん」と言ってわたしにランニングシューズを差し出してきた。