風に恋したキミと



「持ってきてやったんだから笑うんじゃねぇよ。



女子部員なんて関わりねぇんだから知る訳ないだろ」



とあたかも当たり前のように言う桐島。



いやいや、わたしでも男子も女子もみんな名前と種目くらいは言えるよと思うけど、それは自分の心の中に留めておいた。



わたしは声援が聞こえてくる大きな競技場を見つめた。



そして一度息を吐くとこう言った。



「わたし駄目だった。2番だった。



ラストスパートいつもよりも前から頑張ってみたけど、最後もう勝てないって気持ちに呑まれて



泣きそうになって……きっと諦めちゃってたんだと思う……」



そうじゃないとあんなゴール直前で、涙で視界がぼやけたりしないよね。



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