風に恋したキミと


「これ、3000mで1位取ったことも兼ねてだって」



「え?これって…桐島が作ったの?」



わたしの両手には可愛い袋に入ったクッキーとカップケーキが載せられた。



桐島って実は家庭的な人なのか~なんて思っていたら急に焦りだした。



「は?俺がこんなの作るわけねぇだろ!



違うし、それは俺の母さんが作ったもの。前にスマホを放って風呂に入ってたら小川からラインが来てて彼女がいるって気づいたらしい。



それで舞い上がって作ったらしいけど、これから用事があるから代わりに渡せって」



「あ、そうだったんだ。すっごく嬉しい!桐島のお母さん料理上手な方なんだね!



どうしよう、お礼……」



直接言いに行きたいけど、もう帰っちゃったみたいだし。



お母さんに言っておいてっていうのもな。彼女としては印象良くしておきたい気持ちもあるし。



桐島は『別にお礼なんていらねぇよ、勝手に作っただけだし』って言うけれど、それも納得いかない。



「うーん、どうやったら……」



一人で唸りながら、わたしも何かお返しするとか?と考える。


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