風に恋したキミと
両手でぎゅっと手を合わせて握りしめる。
ドクンドクンと速くなる鼓動がどんどん緊張感を増していく。
今はただ“大会で走りたい”って気持ちだけ。
「……次、3000
宮内、それから小川」
「はいっ!」
「……はいっ!」
良かった。わたしの名前呼んでもらえた。
「莉桜良かったじゃん!あたしも幅(走り幅跳びの略)で出れるよー!」
「やったね!大会頑張らなくちゃね!」
嬉しかった。すごく嬉しかった。
でも笑顔でさやかと喜びながらも、心の中では違うことを考えていたんだ。