風に恋したキミと
駅伝メンバーに選ばれないのなら、地方大会に参加すれば良かったなんて、思い付いてもしょうがないことが頭の中で彷徨う。
アンカーの人の名前なんて聞きたくない。
もういっそのこと両手で耳を塞いでしまいたい。
「顏をあげろ、小川。アンカー走るのはお前なんだからしっかりしろよな」
「え……?」
嘘のような、本当のような言葉が降ってきて、わたしはすぐに顏を上げた。
そして俯いていたわたしを見ていたのか、みんなこっちを見ている。
「地方大会を棄権させてまで、駅伝練習に専念させたのに駅伝メンバーに入れないわけにいかないだろ。
お前はこの学校の中で初めての2年生のアンカーだ。
誰にでも負けず嫌いで、怪我しても走る根性を買って小川を選んだ。
明日は絶対1位でゴールしろよ?」