風に恋したキミと
「ねー、桐島。わたしね、明日走るのもわくわくするけど
桐島が走ってるとこ見るの好きだから、明日すっごく楽しみなんだ」
久々に手を繋いでもらえてうれしくてついついそんなことを言うわたし。
桐島の手が大きくて、男の子っぽくて、あったかい。
「前もそんなこと言ってたな。でも俺、小川の前で毎日走ってるけど、明日はそんなに違うわけ?」
意味分かんねーという表情を浮かべながら首を傾げる桐島。
「全然違うよ。練習で走ってる時の桐島もかっこいいけど、大会になるとやっぱり雰囲気が違うからかな?
なんかね、どうやって言葉にしていいのか分からないけどキラキラしてるんだよね。
だから走り終わったらすぐに応援行くからね」
「あぁ」
沈む夕日を背に、明日の話をしながら駅までの道をゆっくりゆっくり2人で歩いて帰ったんだ。