風に恋したキミと



「莉桜、莉桜はアンカーだけど責任は何にも感じなくていいよ。



いつものように莉桜らしい走りをしてくれればいいからね!



1区で走り終わったらゴールで待ってるからね」



黒沢先輩は心臓がバクバクなわたしに気付いてくれたのか声を掛けてくれる。



にこっと笑って、自分も緊張してるのに後輩のわたしにまで気にかけてくれる、なんて優しすぎる人だ。



「はいっ!ありがとうございます」



そしてわたしたちはハチマキをして気合を入れると、それぞれ召集所に向かうことになって。



わたしのサポートにはいつものようにさやかが付いてくれて「今日は莉桜の専属サポーターだから何でも言ってね!」とベンチコートまで持ってやる気満々。



スタートの競技場からそう遠くない5区の召集所にはさやかとは別々で5区の選手達と一緒にバスで乗って行ったんだ。



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